2021年10月中旬ころから、沖縄本島あちこちの海辺に軽石が漂着しています。
原因は、2021年8月の海底火山「福徳岡ノ場(南硫黄島近く)」の噴火。
この噴火によってできた軽石は、
- 黒潮反流という海流
- 台風などの強風
によって、約1450km離れた沖縄にどんどん流れ着いています。
今回の記事では、
- 北部エリアのビーチの様子
- 軽石の漂う海のなかの様子
- 沖縄軽石漂着の原因や被害など
について画像付きでお伝えしていきます。
沖縄の軽石が漂着している場所はとっても広範囲
沖縄の軽石漂着は、2021年10月14日午前に沖縄本島北部の国頭村安田の海岸で確認から始まりました。
そして日に日に確認されるビーチは増えていくことに。
1週間ほどすると、本部町や今帰仁村、名護市のビーチでの目撃も増えていきました。
しばらくすると、恩納村やうるま市、那覇市、宜野湾市、浦添市、南城市、糸満市など、中南部の海岸でも確認されはじめました。
ほかにも瀬底島や伊江島、伊是名島、慶良間諸島などの離島にも。
11月20日には宮古島でも軽石漂着が確認されました。
11月25日には石垣島や西表島でも確認。
12月4日には石垣島の人気観光スポット「川平湾(かびらわん)」にも漂着しました。
軽石は2022年6月まで沖縄近海にとどまる可能性があるとのことです。

軽石(白・ミックス・黒)
【レポ】沖縄の軽石の漂着場所を見てきた
海と石と波と。 pic.twitter.com/PzK8jhX4u5
— グミ🌴おきなわ生活 (@okilife_gumi) October 27, 2021
実際に沖縄の軽石の漂着場所に行ってきました。
わたしが初めて軽石を見たのは川

今帰仁村の川(2021年10月26日撮影)
よく通る道から見える川が今まで見たことのない色に!
とても衝撃的な光景でした。
グレーや茶色、セメントで埋め尽くされたように見えます。
最近、ニュースでよく見る軽石が「こんなにすぐ近くにまで来ていたのか」と思い、少し北上ドライブをしてみることにしました。
北部・大宜味村のビーチ「根路銘海岸」
ドライブ中も海面に漂う、軽石の茶色い帯が見えました。
大宜味村のビーチ「根路銘海岸(ねろめかいがん)」に立ち寄ると、初めて見る茶色い海。

根路銘海岸(2021年10月26日撮影)
たぷたぷと波とともに軽石が動きます。
ちなみに軽石が漂着する前のビーチこちら。

根路銘海岸(2021年1月撮影)
真冬の写真ですが、とってもきれいな海。
そして横を向いても軽石だらけのビーチ。
こちらのビーチでは写真撮影や石を片手に楽しんでいる方が多かったです。
軽石のビーチ、初めての光景でめずらしいですよね。
以前の姿はこちら。
海の色、砂の色がまったく異なりますね。
軽石はもろいです。
発泡スチロールよりちょっと硬いくらい。
ぼろぼろと、手で簡単に割ることができます。
乾いているものは、本当に軽いです。
約1450km離れたところから、海をただよってたどり着いたと思うと単純にすごいですよね。
地球の神秘の力を感じます!
しかしこの軽石、こんなに大量に漂着してしまったので、さまざまな問題が起こっています。
沖縄本島最北端すぐのビーチ「宇佐浜」

辺戸岬から見た「宇佐浜」
今回見てきたなかで、いちばん大きく軽石が漂着していたのは「宇佐浜(うざはま)」です。

宇佐浜(2021年10月26日撮影)
軽石が何層にも積み重なっています。
以前の写真はこちら。

宇佐浜(2021年1月撮影)
今、軽石で茶色い部分はほとんど海でした。
観察していると、激しい波とともに、次から次へと軽石が押し寄せてきています。
以前の海。
ここはリーフまで浅瀬の岩場が広がっていました。
釣りやシュノーケリング、ダイビング、ロッククライミングなどで訪れる人も多くいる穴場の海です。
左のほうを見ると、軽石が山のようになっています。
以下は以前の写真。
とっても広範囲にわたって軽石が漂着していることがわかりますね。
わたしの膝よりも高く漂着しているところもありました。
きっと早い時期から日々、軽石が到着しているのでしょう。
個人的には浅瀬のカニや貝、魚などの生き物がとても心配で気になります。
本当に、軽石の量が多すぎです。
これは自然の力で海に引いて戻るのは、すぐにはむずかしそうですね。
宇佐浜で出会った地元のおじいさまは「地元だけど、こんなの初めてみた!大きいものは前にも来たことはあるけどね。なにかに使えないかな~」と話してくださいました。
以下は1986年福徳岡ノ場噴火によって海上を浮遊している軽石の写真です。
以前の福徳岡ノ場噴火のときにも、沖縄に軽石は漂着していたとは!
知りませんでした。
深刻な被害の国頭村「辺土名漁港」
「辺土名漁港(へんとなぎょこう) 」にも立ち寄ってみましたが、ほかのビーチとは雰囲気が異なりました。
船や人を見ると、とてもつらい気持ちに。
今は早く解決されることをただ祈るしかできません。
沖縄の軽石が漂う海でシュノーケリングしてきた(※追記・11月中旬)

ここでシュノーケリング
11月中旬のお天気がいい日にシュノーケリングしてきました。
ビーチには軽石が漂着していましたが、ほんの少しだったので泳いでみることに。
海に入ってびっくり。
地上からはわずかに見えた軽石ですが、水中では意外とたくさん。
軽石があってもシュノーケリングはふつうにできたので、少し沖に。
軽石は顔や体に当たっても、まったく痛くなかったです。
抵抗はありますが、大きな軽石もノーダメージ。
ちなみにシュノーケリング後、器材や体に軽石はほぼついていませんでした。
沖に到着。
驚くことに軽石は数メートル下まで漂っていました。
初めて見る光景。
まるで海のなかに雪が舞っているようです。

軽石の漂う海で口を開けて泳ぐグルクマ
浅瀬のルリスズメダイなどの小さな熱帯魚や、沖のグルクマが軽石をパクパクと食べているところを目撃しました。
水中を漂う小さな軽石は、エサのように見えるのかもしれません。
とはいえ、ほとんどのお魚は軽石を気にせず泳いでいましたよ。
わたしは海に入るまでは、軽石は海の上辺に浮いているだけだと思っていました。
しかし実際は、砕けた軽石を水深3、4メートルでも確認。
この状況はとても深刻ですね。
恩納村のホテル「ハレクラニ沖縄」のビーチにも大量の軽石(※追記・12月上旬)

ハレクラニ沖縄のビーチ
12月になると、軽石の漂着が確認されたビーチがかなり増えたように感じます。
もちろん、リゾートホテルのビーチにも。
先日、恩納村のホテル「ハレクラニ沖縄」に行ってきました。
サンセットウイングのお部屋からは、軽石の気配をまったく感じませんでした。
ですが、ビーチハウス付近の海岸には、軽石がたくさん漂着。
沖縄の美しい海を楽しみにしてきた観光客の方は、驚かれるかもしれません。
回収された軽石の量もすごいです。

小さな袋が山積み

大きな袋にいっぱいの軽石
現在、沖縄では軽石除去のボランティア募集も増えています。
わたしも参加予定。
沖縄の美しい白い砂浜を、また見られるようになるといいですね。
西表島のビーチでも軽石の漂着を確認(※追記・12月中旬)
12月中旬に、西表島(いりおもてじま)に行ってきました。
沖縄本島の那覇と西表島は約440kmの距離です。
軽石の影響が心配でしたが、石垣港から離島行きのフェリーは通常通り運航していて一安心。
西表島では軽石の心配をすることなく、ボートシュノーケリングも楽しむことができました。

星砂の浜
しかし、西表島でも軽石の漂着を確認。
島の北部にある「星砂の浜」では、海岸に軽石が少し打ちあがっていました。
近くのトゥドゥマリの浜(月ヶ浜・つきがはま)では、軽石を見かけませんでした。
これから西表島への軽石漂着が増えてくるとのシミュレーションもあるので、心配です。
沖縄本島・羽地内海など軽石の現在の様子(※追記・2022年1月、2月)
先日、那覇のショップ店員さんに「北部には軽石まだあるんですか!?回収したって聞いたので、もうなくなったんだと思ってました~」と言われました。
とっても驚いたので、2022年2月現在の様子を追記します。

美しいビーチにも少量の軽石(2022年2月撮影)
2022年も軽石はまだまだ沖縄に漂着しています。
回収したビーチでも、軽石は完全にはなくなっていません。
沖縄本島のほとんどのビーチで、軽石が灰色の帯状に漂着している様子を確認できるのではないでしょうか。
ビーチによっては今も大量の軽石が。

今帰仁村の長浜ビーチ(2022年1月撮影)
半島の北側にあるビーチは、軽石漂着がとくに多いように感じます。
名護市の羽地内海(はねじないかい)あたりは、今でも一面軽石におおわれた海が見られます。

嵐山展望台から見た羽地内海(2022年1月上旬撮影)
黄色い点線部分は軽石です。
海岸近くから見ると、軽石で埋めつくされているのが分かります。

羽地内海(2022年1月上旬撮影)
以下は羽地内海のほぼ同じ場所の「1月上旬、下旬、2月中旬」の様子です。

羽地内海(2022年1月上旬撮影)

羽地内海(2022年1月上旬撮影)

羽地内海(2022年1月下旬撮影)

羽地内海(2022年1月下旬撮影)

羽地内海(2022年2月中旬撮影)

羽地内海(2022年2月中旬撮影)
海岸から見える軽石はなかなか減っていませんね。
羽地内海では、ポンプで軽石を吸い上げる大きな船「砂利採取運搬船」や、軽石の流入を防ぐ膜「汚濁防止膜(おだくぼうしまく)」を導入しています。

海上では砂利採取運搬船が作業

陸上ではショベルカーが作業
軽石は日々の回収作業でかなり減っているのですが、いまだに近くを通るたび陸のような茶色い海が見えるのでとても心配です。
また回収した軽石が入った大きな袋が山積みになっている光景も沖縄本島のいたる所で見かけます。

軽石が入った黒い袋
沖縄県で2月4日までに回収された軽石は、2万9209㎥(立方メートル)とのこと。
軽石問題、できるだけ早く解決されることを願っています。
海に軽石はありますが、ダイビングやシュノーケリングなどのマリンスポーツは、場所を選べば問題なく楽しめますよ!

SUPやダイビングを楽しむ人々(2022年1月)
マリンショップで予約すると、その日の海況にあわせて楽しめる場所を案内してくれます。
わたしは実際に2022年1月と2月に本部町でシュノーケリングとダイビングをしました。
冬なのでシュノーケリングをする人は少なめでしたが、ダイビングをする人は意外と多かったです。
軽石の影響はとくになく、ゆったりと海中世界を楽しめました。
沖縄の軽石漂着の原因は海底火山の噴火

小さな貝がついている軽石
沖縄軽石漂着の原因は、2021年8月の海底火山「福徳岡ノ場」の噴火によってできた「軽石」が海をただよって漂着したと考えられています。
沖縄に軽石はどこからどうやって来たのか
沖縄の軽石はどこから来たのかというと、「福徳岡ノ場(ふくとくおかのば)」からです。
場所は以下です。
沖縄の軽石は南硫黄島近くの福徳岡ノ場からやってきているとされています。
軽石は、8月の噴火で発生。
およそ2か月かけて、約1450km離れた沖縄に流れついたということですね。
どうやってい来ているかというと、海流や強風にのって流されています。
具体的には、黒潮反流という海流と、台風などの強風です。
また軽石の一部は今後「黒潮」にのって2021年11月~12月ころには、九州や四国、本州の海岸にも漂着する可能性があるといわれています。
沖縄の軽石漂着はいつまで続くかは不明

大きい軽石は手前に
沖縄軽石の漂着がいつまで続くのかは、現在、見通しの立たない状況です。
あと1、2か月ほどは、とくに注意が必要だといわれています。
2022年6月まで沖縄近海にとどまるとの予測も。
自然のことなので、むずかしいですね。
浜辺の海の上に大量にたまっていた軽石が「一晩で消えてなくなった」との報告もあります。
おそらく強風や風向き、潮の満ち引きや流れによって、ほかの場所に流されたのでしょう。
軽石の旅はいったいいつまで続くのでしょうか。
沖縄の軽石の成分は二酸化ケイ素など
今回の軽石は1986年の福徳岡ノ場噴火時の噴出物とよく似ているそうです。
そのため、軽石の成分も同じように似ているかもしれませんね。
1986年の福徳岡ノ場噴火付近で採取された石の成分は以下です。
1986年(昭和61年)1月採取の軽石SiO2 57~59%,Na2O 6.2~6.3%,K2O 4.2~4.5%.
よって今回の沖縄の軽石にも、以下の成分が含まれていると考えられます。
- SiO(二酸化ケイ素)
- Na2O(酸化ナトリウム)
- K2O(酸化カリウム)
軽石をよく見てみるとキラリと輝くものが見えます。

大きめの軽石
この大きな軽石を拡大してみると…
きれいな結晶です。
真っ黒な軽石にもキラキラ輝くものを発見。
今回の沖縄の軽石には、曹長石(そうちょうせき)、輝石(きせき)、カンラン石などの鉱物が含まれているそうです。
じっくり軽石観察も楽しいですよ。
この機会に「石ころ博士入門」を読んでみようかな。
沖縄の軽石被害は漁業やホテル・ダイビングなどさまざま

リゾートホテルの遊泳エリアにも軽石
沖縄軽石の被害は多岐にわたります。
- 生き物への影響
- 漁業(漁・養殖など)
- 観光(リゾートホテル・ダイビングなど)
- 船(離島をむすぶフェリー運航取り止め) など
生き物への影響は、たとえば養殖されていた魚の「グルクマ」が軽石を食べてしまい、大量になくなってしまいました。
ほかにも、なくなった子ウミガメの体内から大量の軽石が出てきたとのことです。

海中の軽石は細かい
軽石が海に漂っていると、船が出せなくなります。
第十一管区海上保安本部のHPでは「漂流する軽石への注意喚起」が公開中です。
そのため、漁師さんやフェリー(高速船など)の運航、ダイビングなどのマリンスポーツの業者さんにも影響が出ています。
漁師さんは船のエンジントラブルなどが原因で、漁を自粛せざるをえない方も。
それに伴って、沖縄県産マグロの価格が上昇しています。
ダイビングに関しては、万が一、ボンベから空気を吸う「レギュレーター」の隙間に軽石が入ってしまうと、水中で息ができなくなってしまうかもしれません。
これから軽石が砕けて小さくなったり、浮遊範囲がさらに広がると、ますます深刻な問題となりそうですね。
まとめ:沖縄の軽石漂着場所は広範囲で被害はとても深刻

今帰仁村の海(茶色い部分は軽石)
最後までお読みいただき、ありがとうございます!
「沖縄の軽石が漂着した場所を見てきた!被害や原因・いつまでなのか調査」についてお伝えしました。
- 原因は海底火山の噴火
- 漂着範囲は広範囲
- 被害は生き物・船など
ようやく沖縄旅行や観光が盛り上がってきそうというところで、この軽石被害。
ビーチの白砂が見られない場所が増えると、観光客の方も驚かれるかもしれません。
しかし、軽石×青い海は今しか見られない貴重な景色です!
個人的には、期間限定の風景だと思って楽しむのもアリかなと思います。
ぜひ沖縄に軽石を見に来てください。
そして、いち早く軽石被害の解決・軽石の活用方法が見つかるよう願っています。
【保存版】沖縄観光の裏ワザ16選!格安で沖縄旅行を100倍楽しむコツ